RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)、通称RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みです(※)。今回は、このところ国内の金融機関でも導入が急速に拡大しているRPAの代表的な機能や導入の留意点を説明します。(読み:アールピーエー)
※日本RPA協会よりhttp://rpa-japan.com
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、パソコン上で行う事務作業を自動化するソフトウェアロボット技術のことです。
RPAは、人が日常的にパソコンで行っているマウス操作やキーボード入力などの操作手順を記録し、高速かつ正確に実行することができます。その結果、既存の事務作業を効率化し、生産性を向上させることができます。
RPAを導入するメリットとしては、業務の効率化や生産性の向上に加え、ヒューマンエラーの削減、事務作業からの解放による従業員のモチベーション向上、より付加価値の高い業務への集中、人手不足の解消などが挙げられます。
人手不足解消に有効と今注目のRPAツール
RPA普及の背景
RPAツールは、数あるITソリューションの中でも異例のスピードで普及が進んでおり、日本での利用が本格化した2016年からわずか5年強で大手企業の大半が導入しています。
その最大の理由は、デジタルレイバーと呼ばれるバーチャルワーカーを増やすことで、日本社会が抱える深刻な人手不足の解決策になり得るからです。
日本国内では少子高齢化の影響で、労働力の中核をなす15歳から65歳までの生産年齢人口は1990年代をピークに減少傾向にあります。これは経営層が真剣に取り組んでいる課題でもあります。
RPAツールは人手不足を補うだけではありません。主要国で最低水準となった賃金を引き上げるためには、人以外の労働者でもできる業務、特に人が不得意とする業務を自動化し、余力を生み出し、人にしかできない、より付加価値を生み出せる業務にシフトしていくことが不可欠です。
そこで、希少な経営資源である人材に代わり、より早く、正確に、低コストで業務を処理できるRPAが注目されています。
RPAが起こしつつある変化
RPAツールの登場により、これまで「システム化が難しく、人間にしかできない」とされていた業務をロボットが代行することで、業務の効率化が図れるようになりました。これにより、現場作業者の業務負担が軽減されるだけでなく、経営面でも多くの企業でRPAツールの導入コストを上回るコスト削減効果が出ています。
人手不足対策としては、特に深刻な物流や医療業界の管理部門でRPAが活用され、デジタルレイバーによる余力をもとに組織全体のリソース配分を最適化しています。また、RPAツールの導入ノウハウを活かして、他社のDX支援事業など新たなビジネスを展開する例もあります。
さらには民間企業だけでなく、官公庁でもRPAツールの導入が活発化しています。中央官庁では経済産業省や金融庁がすでにRPAツールを導入しているほか、都道府県や市町村でも業務改革の一環としてRPAツールの導入が相次いでいます。
業務効率化におけるRPAの強みとアウトソーシングとの違い
RPAの強みは「辞めない、休まない、ミスをしない、変化に強い」
RPAには、人間にはない以下の4つの強みがあります。
- RPAは辞めない
- 休まない(連続稼働できる)
- 同じミスを繰り返さない
- 変化に強い
デジタルレイバーは自分の都合で辞めず、24時間休みなく働き続けることができます。作業の最初から最後まで、抜け・漏れ・見落としなどの「ケアレスミス」がなく、実作業中にエラーが発生しても、一度修正すれば同じミスは繰り返さない、さらに、作業の手順や仕様が突然変わっても、RPAツールは簡単な修正で柔軟に対応ができます
一見、人間にしかできないと思われる複雑な作業も、RPAが得意とする定型作業に分解すると意外に多く、場合によっては定型作業の組み合わせだけで構成されることもあります。
「ITで改善しようとしたが、費用対効果が見合わず断念した」「そもそも自動化は無理だと思い断念した」業務に、デジタルレイバーは改善・改革の可能性をもたらします。
RPAによる効率化とビジネスプロセスアウトソーシングの違い
RPA以外にも、人手不足を補う選択肢として、人材派遣やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング:新興国などへの業務委託)が広く活用されています。
しかし、派遣やBPOの場合、派遣スタッフが自己都合で退職する可能性が常につきまといます。そのため、ベテランの退職後の引き継ぎがスムーズにいかず、同じ指示を何度も出さなければならないなど、コストに見合った仕事の質が得られないケースも少なくありません。また、作業内容の変更には学習期間が必要で、正確性を担保するためにはヒューマンエラーに対する何重ものチェックが不可欠で、人件費やリードタイムが増大するという問題もあります。
その点、辞めず、休まず、初回から指示通り、ミスなく働けるデジタルレイバーを供給するRPAは、人手に頼るアウトソーシング業務の課題を一挙に解決できる技術なのです